先日育成クラスの合宿に行った際に
気になったこと
子供たちの挨拶が少ない
声が小さく元気がない
教育者ぶって挨拶は大事という話をしたいわけではなく
挨拶をするというのは当たり前のこと
この当たり前のことをしっかりする
というのがテニスでも大事
構える
スプリットステップ
足を動かす
ラケットの準備を早く
打ったら戻る
テニスには特殊な技術ではないが
絶対にやらなければいけない
当たり前の行動がある
それらの行動のは難しいものではない
しかし、子供たちの動きを見ていると
当たり前ができていない
子供たちに
「やらなければいけない当たり前のことは?」
と質問すると先に挙げたような
内容が出てくるので頭の中では理解をしている
「じゃあなんでやらないの?」
この質問をすると無言になる
当たり前のことだから忘れがちになったり
サボってしまう
まだ習慣になっていない
これは指導者の責任でもある
何でできないんだ!とはならない
当たり前をどうやった習慣づけられて
無意識にできるようになるか
その工夫をするのが
指導者の役目だから
・習慣化・自動化するには時間が必要
練習にしろ、トレーニングにしろ、
継続することは難しい
特にトレーニングは苦痛を伴うことも多いので
それを乗り越えるのは大変
人は3週間同じ行動を続けると
その行動を起こすのに対し、抵抗がなくなる
と言われている
ここが分岐点
3週間で慣れる
3ヶ月で変化が現れる
というようなもの
「昨日のコーチのアドバイスで良くなった」
と言われたりすることがある
なにかコツを掴むきっかけを
与えられたことは嬉しいが
それがその子の技術として
浸透していくのはまだ先で
そんなテニスは簡単じゃない
トントン拍子にはいかない
なので継続して練習を重ねるのが
大切になってくる
特に大事なのが、最初の3週間
そこをうまく超えられる人は多くない
なので達成することで得られるものまで説明する
トレーニングを続けることで
フットワークが向上して
守備力が高まり
選べる選択肢が増える
パワーがつくことでサーブで主導権を取れる
フリーポイントを取れるようになるなど
具体的にプレーにどう影響がでるか
そこまでイメージできるだけでも
継続力は変わってくる
・苦しいことに向き合う力
子供たちの将来性を測るとき
何を基準にするのかというと
「戦う感性」
何が「戦う感性」なのかというと
ひとつは忍耐の力があるかどうか
スポーツは苦しいことばかり
練習ばかりではなく
試合においても
日常生活でも苦しいことに追い込まれる
まずはそれに耐える力が必要だということ
そして攻め切る勇気があるか
相手から逃げずに戦えるか
大切な場面でビビってしまい
消極的なプレーになったり
ラリーを怖がり無理な攻めをしたり
なんてことがある人は残念ながら
強くなっていく可能性は高くない
そんな時にガッツを出せるか
声が出ているか
自分のスタイルを貫けるか
そんな感性を持っているか
勝負所を見極める力が必要
1試合通して淡々とプレーするのではなく
序盤・中盤・終盤のそれぞれの
キーポイントでプレーのギアを上げて
試合を優位に進めれるか
勝負所が分からないと
重要なポイントに気づかずに
なんとなくプレーに入って
ポイントを失う
そうなると自分が格上でも
もつれた展開になり
勝てる試合を落とす
よほど実力差がある相手でない限り
そういったチャンス・ターニングポイントは
必ず出てくるので
少ないチャンスをものにできるように
アンテナを張る
他にも多くの要素があると思うが
子供たちのテニスを見てきて
強くなっていった選手を見てきて
この感性は何よりも大切
じゃあその感性はどうやったら高められるのか
それは簡単ではないが
人が衝撃的な出来事によって
多くの経験の中で
何かしらの衝撃的なきっかけがあれば
それは変えることができる
だからコーチは教えることだけではなく
経験させることが大切であり
そのための機会をたくさん作ることが仕事
その自覚を持って仕事をしていく
・クロスは基本中の基本
練習ではクロスの練習を多くしている
なぜならクロスのほうが機会が多い
クロスに打つショットについては
・ ネットが低い中央を通せる
・ 対角線方向は距離が長くアウトになりにくい
・ コートカバーのポジショニングが楽になる
テニスのスイングは回転運動なので
クロスへ打つほうが感覚的に
自然なスイングができる
自然にラケットを振って
普通にボールを打てば
クロスに飛んでいくもの
子供たちに打球させてみると
それはさらに顕著になる
クロスに打つときは
極端なクロスを狙うのではなく
相手コートのセンターマークと
サイドラインの間に深く狙うのがポイント
自分で思っているよりも
クロスに飛んでしまう人は
少しスピンの量を減らす
などの工夫がいるかもしれない
またストレートにばかり行ってしまう人は
少し打点を前にすることを意識すると
楽にクロスに打てるようになる
クロスへ打つことは
強くなるためには大切な技術なので
できるだけ正確に
狙ったコースに打つことができるように
技術を磨いてほしい
・クロスの大勝利
打った後コートカバーのために
戻る距離が短く守りやすいというのは
強くなるための戦術としては大変重要
錦織圭選手とアンディ・マレー戦で
42回ラリーが続いたときの
打球コースが中継で映された
マレーは3回しかストレートに打っていない
その結果、錦織選手はマレーに比べて
移動距離が大きくなり、最後は疲れて
緩いストレートボールを追えなかった
マレーは、錦織選手の攻撃的なショットを防ぎ
できるだけ自分の動きが少なく
ミスのリスクを減らしながら
相手の消耗を待って勝負に出る
作戦を立てたということ
このように相手のショットのレベルが上でも
クロスをうまく使うことで
試合に勝つことはできる
この技術は磨いておいて損はない
・試合前のメンタルコントロール
いつもゲームばかりはしていられない
やはり練習によって
調子を上げる工夫をしなければならない
子供に
「調子が悪いときはどんな練習をするの?」
と聞いてみると
「基礎練習」と答える場合が少なくない
「課題に取り組む」と答える場合もある
どちらも間違った答えではない
しかし
1週間後に迫った大切な試合を前に
調子を落としてしまった場合はどうだろうか
調整の意味で練習するのではなく
「不安」から焦り
「このショットの調子を上げなくてはならない」
と思って練習に取り組んでいて
果たして調子を取り戻すことができるか?
これは逆効果で
「~しなければならない」
という考えこそが
自分を追い込んでいることに気づくべきで
人間はマイナスのほうに意識を向けやすい
「基礎練習」をやっていて
うまくいったショットよりも
ミスのほうに強く意識を向けてしまう
「基礎」であるだけに
「ミスをしてはいけないと思い込んでしまう」
そういう子の練習を見ていると
「おっ、なかなかいいショット打つなあ」
とこちらが感心しても
当の本人はいつでも不満げ
なぜなら
「1本のミスショットも許されないよう」に
思い込んでしまっているので
一本でもミスショットがあるうちは
「自分自身を許すことができない」
「自分自身を許す」ことができなくて
「調子が良いと感じる」ことがあるだろうか
そんなことはあるはずがない
一流のプロだってミスはする
という「当たり前の考え方」を持てない限り
その呪縛から逃れることはできない
「ミスをしてしまう自分を許せるようになる」
ためにも
「基礎練習」に縛られないようにしたい
ただし、勘違いしてはいけない
「基礎練習」は大切な練習
でも、これには改善・矯正ということが
目的である場合が多く
「改善する」ためには
多くの時間を必要とする
次の試合までに時間がある
次の試合はいいから
将来のために
今この改善に取り組む必要がある
という場合には絶対に必要な練習
しかし、間近に迫った大切な試合を控えて
メンタルが原因で
調子を落としているような場合は
取り組み方を間違えてはいけない
ではどんな練習がいいのか?
「得意なショットを練習」
「好きなショットの練習」
をする
サービスが得意であれば
サービスの練習を多めに
時にはサービスの練習だけをすれば良い
調子が悪いから(悪いと思い込んでいるから)
今までのように上手く行くとは限らないが
少なくとも不得意なショットよりは
「上手く打てる」
「上手く打てると感じる」場合は多い
得意なショットというものは
そのショットを打ったときに
「気持ちいい!」
と感じやすいだろう
でも、その得意であるショットが
調子悪くて落ち込んでいるときには
どうすれば良いのか
という疑問が浮かんでくるが
何度も書いたように
少しでも気持ちよいと
感じるようにを持っていくことが大切
試合のことを意識しすぎて
調子を落としている選手は
何をやってもうまくいかないと
感じてしまうもの
ナーバスになっている
だからこそ
少しでも練習に対して心地よいと感じる
練習方法を考えることが大切
もし練習をやっていて
どうしても気持ちよく思えないのであれば
練習を一旦打ち切って
気晴らしに行くのも良い
何をやっても良い
何よりも良くないのは
「練習しなければならない」
「~しなければならない」という考え方に
自分自身を縛ってしまうこと
指導者側が縛ってしまうこと
ちょっとした考え方を変えて
呪縛から抜け出せた時
選手はいいプレーができるようになる。
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