「観る」力が育てる想像力 – 試合観戦と洞察力を活かした指導法

成功をイメージできない人は成功しないと言われます。テニスにおいても、この「想像力」は選手の成長を大きく左右する重要な能力です。本記事では、試合観戦を通じた想像力の育成と、指導者に求められる「観る」力について、実践的な観点から詳しく解説します。

目次

見ないと分からないこと – 想像力の重要性

成功イメージの科学

自分の成功をイメージできない人は成功しないと言われます。スポーツではこれが顕著に現れます。

まったくの夢のようなイメージも必要ですが、具体的に自分の力量を把握しながら、今の自分が最大限に力を発揮したときにはどんなふうになることができるのかについて**「想像力」を働かせる選手は強くなります**。

想像力を鍛える方法

「想像力」を鍛えるには方法があります。ひとつは強い選手の試合を「見る」ことです。

試合観戦の実体験

指導している子供と一緒に試合を見ました。この子にとって「見る」必要があると思った選手の試合でした。

試合の後、その子は「試合を見るのって疲れますね。これなら試合をやっていた方がいいです。」と言いました。

「わかってくれたか!」という思いでした。

指導者の試合観戦

「コーチは試合を見るだけだから疲れない」と言われることがあります。「ふざけるなあ!」と言いたい気持ちをぐっと堪える場合も多く、「忍耐力」を発揮して「そうだね」とニコッと笑う自分を褒めていました。

**実際に試合を「見る」というのは大変疲れます。**特に「この試合」という思いがあるときは、感情移入の度合いも強いので、実際に試合をやったようにドッと疲れが出ます。

観戦がもたらす効果

しかし、そのような試合ほど自分にとって「想像力」を駆り立ててくれる機会になります。

試合観戦で得られる洞察

  • 「どんな練習やトレーニングをすれば良いのか」
  • 「この選手の優れたところや課題は何か」
  • 「どのレベルにまで成長できるか」

これらが頭の中に鮮明にイメージとして沸いてきます。下手な練習をするよりも脳が活性化されているので、素晴らしい効果を生むことも多いのです。

想像力不足の問題

しかし、日ごろから「想像力」を働かせていない人は、「この試合、面白かったね」「あのショットはすごいね」などの感想しか記憶されません。「見る」効果が十分に発揮されることもないのです。

目標:豊かな「想像力」を身につけたい。

イメージトレーニングの実践

脳と筋肉の連動

脳の中に鮮明なイメージが描けているときは、実際に筋肉を動かしておくのは大変効果的です。

ボクサーがたくさんの時間をかけてシャドーボクシングをするのは、その効果を狙っています。その時のボクサーの頭の中は、自分のパンチが相手を確実にヒットした場面が鮮明に描かれているのです。

テニスでの応用

テニスも同じです。しかし、それを行う機会は少ないでしょう。

実践的方法:順番待ちで打っている選手の後ろにいるときに、小さくでも良いから実際にスイングしてみることです。「想像力」豊かであれば効果があります。

タイミングの重要性

いい試合を見た後は鮮明にイメージが浮かんでいるので、その機会を逃さず練習をすれば効果があります。

しかし、ちょっと時間が経つとイメージは薄れ、何が自分にとって良いと感じたか忘れてしまいます。

記憶の定着プロセス

実際には、このように「忘れては思い出す」を繰り返して段々と「自分のもの」になっていくのですが、もし「忘れる」ことが少なければ、もっと効果が上がるでしょう。

ノート活用法

試合などの後にひらめきがあったのであれば、それをノートなどに書き残しておきます。

効果的な記録方法

  • 文章の体裁などはどうでもよい
  • 感じるままの殴り書きの方が望ましい
  • きちんと整理しすぎると時間がかかり過ぎる
  • パッとひらめいたのであれば、パッとその記憶を残す

何かうまくない時などがあったら、ときどきノートを開いて「みる」といい。その時に感じたひらめきやイメージが救ってくれるかもしれません。

表面だけを見てもダメ – 洞察力の重要性

コーチングの最大の難しさ

コーチングで一番難しいこと、それは**「目に見えないものを感じ取る」こと**です。

フォームの問題点を指摘することは、それほど困難ではありません。しかし、そのフォームを形づくる根本的なものは、その人の「考え方」や「身体感覚」です。もちろん自分とは違います。

洞察力が決める指導効果

それを理解できるかどうかで、効率的な指導ができるかどうかが決まってしまうと言っても過言ではありません。

指導する立場の人間が指導される立場の人間に対して、いかに「洞察」できるか。つまりは**「目に見えないものを感じ取ろうとする努力」をするかどうか**にかかっています。

「観る」と「見る」の違い

そのためにもっとも大切なことは「観る」ということです。

「観る」は「見る」とは違います

  • 「観る」は、まさに「洞察する」ということ
  • 目で見るだけではなく、その心理状態をも「察するように深く見る」ということ

だから筆者は極力試合を見に出かけます。そこから見えてくることは大きいのです。

洞察を指導に活かすために

そしてその「洞察」を指導に結びつけるための「アイディア」を持つこと。そのためにはやはり「知識」が役に立ちます。

「知識」は絶対のものではないけれど、「洞察」を効果的に補完するものです。選手の理解の仕方は千差万別ですが、その理解を深めるためには、多くの「知識」があることは大変有効です。

声掛けのタイミング – 静観の重要性

指導における静観

指導とは「静観すること」も含まれます。

静観とは見るだけではありません。見て、チャンスを待つという意味です。

適切な判断の難しさ

仮に選手が間違った動きをしていても、それが後にどういう形で技術に効いてくるのか、これは瞬時にダメだと判断できないからです。

何を、いつ言うのか、そのタイミングを待ちます。

最適なタイミング

そのタイミングとは、選手本人に潮が満ちるように課題が見えてきたときです。

選手本人が何かを聞いてきた時には、すべてを答えてやらなくてはなりません。(そうしたアドバイスのチャンスが来るまでは)

指導者の準備

指導者として問われるべきは、私自身がいかに適切な準備をし続けているかです。

このような姿勢で指導に臨んでいる指導者は、そう多くはないかもしれませんが、少なくともあなたの問いかけに対して、あなたが納得できる答えをいつでも示すことができる指導者でなければ、あなたの力を引き出すことはできません。

優れた指導者の見極め方

試合会場での観察

また、試合会場で真剣に選手の試合を見続けている指導者を選択するのもよい方法です。

多くの指導者が忘れていること

多くの指導者は、言うことではなく、見ることこそ指導者の役目であることを忘れています。

「見る」ことの意味

「見る」ことは指導者として適切な準備をし続けていることの証しです。その証しを示すことができている指導者は、きっと優れた感性で選手を導いていけるでしょう。

実践的な観戦・指導法

指導者向けアドバイス

洞察力を高める方法

  1. 表面的な技術だけでなく心理状態を観察する
  2. 選手の質問のタイミングを見極める
  3. 知識を蓄えて洞察を補完する
  4. 静観の時間を大切にする
  5. 試合会場での観察を怠らない

継続的な成長のために

長期的な取り組み

  • 定期的な試合観戦の習慣化
  • 観察日記の作成
  • 他の指導者との情報交換
  • 最新の指導理論の学習
  • 選手との対話の質向上

まとめ

「観る」力は、選手にとっても指導者にとっても不可欠な能力です。単なる技術の習得を超えて、想像力を育み、洞察力を深めることで、真の成長が可能になります。

選手は試合観戦を通じて豊かな想像力を身につけ、自分の可能性を具体的にイメージできるようになります。指導者は深い観察力と適切なタイミングでの指導により、選手の潜在能力を最大限に引き出すことができます。

「見る」ことは疲れる作業ですが、その疲れの先にある成長と発見こそが、テニスの真の醍醐味なのです。表面的な技術指導を超えて、選手の内面まで洞察できる指導者を目指し、また選手自身も豊かな想像力を持って競技に取り組むことで、より高いレベルでのテニスを楽しむことができるでしょう。

真剣に「観る」ことから始まる成長の物語。それこそが、テニスというスポーツが提供する最高の贈り物の一つなのです。

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