今回はテニスを始めたばかり
幼稚園~小学校低学年のジュニアが
初めに覚えたい感覚3つをご紹介!
テニスはオープンスキルが求められる
テニスはサーブの時以外は常に状況が変わるので
判断能力や対応力が求められるスポーツ
子供が体もテニスの技術も成長した時には
体の使い方やフォームなど「型」が必要になるが
「感覚」を身に付けないと
飛んでくるボールに対応できず
ほとんどテニスにならない
なので「感覚」から身に付けることの
優先順位は「型」よりも高い
~最初に覚えたい感覚3つ~
1.ボールに合わせて動く
(定位能力・リズム感)
2.狙って打つ習慣をつける
(ボールコントロール・空間認識能力)
3.テニスのルールを知る
(判断力・決断力)
1.ボールに合わせて動く
ランダムにボールが飛んでくるテニスは
ボールに合わせて動くことが重要
しかし初めてボールを使うスポーツをする子には
ボールの落下地点・弾みを判断するのは難しく
ボールの動きに合わせて動くのはさらに困難
なので最初は簡単なボール遊びからスタートして
ボールへの恐怖心や苦手意識がつかないように
感覚づくりが必要
ボールと触れ合う時間も大事になってくるので
可能であれば自宅でもボール遊びができると
色々なスポーツに対しての順応が可能
個人的な感覚だが、テニスを習っている子よりも
野球・サッカー・バスケを習っている子のほうが
ボールへの対応力がある印象
テニスレッスンがボールを打つ練習に偏っていて
ボールへの対応・運動能力の開発
という本質的な能力に対しての
練習が足りていないということ
自分自身もサッカーからテニスに移行したので
最初からボールの判断には苦労せず
その経験がテニスの成長に繋がった
テニスを習わせるとなると
どうしてもボールを打たせたくなるが
「急がば回れ」
テニスはボールを打つスポーツだが
ボールを打っていない時間のほうが
圧倒的に多いことを忘れてはいけない
●ボールを見る、ボールの動きを予測する
●ボールと自分の動きを合わせる
●どんなボールが飛んでくるか予測する
ボールに合わせて動くための練習は
大きく分けて3種類
最終的には全部が複合させるのが目標だが
まずはそれぞれを切り分けて練習することで
難易度を下げて
子供たちにも実践できるようにする
●ボールを見る、ボールの動きを予測する
ボール遊びの経験が少ない子は
ボールのスピードやバウンドの判断が難しく
ボールの軌道をイメージすることができない
これは目の問題というよりも経験値不足
多くの経験をすることで改善していく
人間の動体視力には限界があり
取る瞬間・打つ瞬間は視界にボールが
入っていても正確に目視することは難しく
飛んでくるまでの軌道・スピードなどの
情報を元に判断する必要がある
【ボールキャッチ】
最初は自分の手とボールの距離感を取れるようになることを目指します。
このようなシンプルで難易度の低いメニューでは
運動量を上げて基礎体力の向上や
取ったら定位置に戻るなど
テニスの基本動作の習得を
同時に行うことも可能
キャッチした後はコーチに投げ返して
ラリー形式にするのも◎
【ラケットキャッチ】
次はラケット2本使ってボールキャッチ
ラケットを持つと距離感が変わり難易度がアップ
ボールを挟むタイミングも重要も大事なので
タイミングを合わせる感覚も身に付く練習
【キャップキャッチ】
ボール缶のキャップを使うメニュー
ボールとは違い投げた時に大きく変化するので
動体視力や変化に対応するフットワークも
自然に身に付くメニュー
キャップを投げる側も胸郭の旋回運動が入るので
子供達同士で実施することも可能
【ランダムボール】
レッド・オレンジ・グリーン・イエローボールを
ランダムに球出しすることで
弾み方に違いが出るので
受け手側は素早くボールの種類を判断して
距離感を取らなければならない
難易度の高いメニューだが
様々な弾み方のするテニスにおいて
必要な感覚が身に付く
ボールの種類によって
フォアで打つ、バックで打つなど
条件をつけることで
判断能力の開発をすることができる
●ボールと自分の動きを合わせる
リズム感やタイミングを合わせる感覚に近いが
大事なのは自分のリズムだけではなく
他の何かテニスだとボールとリズムを合わせる
ところが重要なポイント
いわゆる同調性といわれる能力
【ボールつき】
多くのスクールが初心者の子に
最初にやってもらうメニューだが
ここでは面のコントロールではなく
ボールのバウンドに合わせて体を動かす
同調性の習得が目的
ボールの上下の動きに合わせて
膝の屈伸運動でタイミングを取る
手だけでやろうとするとボールが前に飛び
連続で続けることが難しくなる
ここで膝を使う習慣が身に付くと
スイング動作の際もスムーズに
下半身の使い方を習得できる
●どんなボールが飛んでくるか予測する
これまでもボールの軌道など
予測の要素が入った練習があったが
ここでの予測はボールが飛んでくる前の予測
最初から子供にフォームや面の細かな動きから
予測をさせるのは難易度が高いので
子供にも判断できるぐらい難易度を落として
相手の動きを見る習慣をつける程度OK
慣れてくると動き出しが早くなり
ボールへの対応力向上に繋がる
ここで「スプリットステップ」を導入して
良い習慣作りをしてあげるのも◎
目で見た情報を元に判断して動作はスタートする
情報処理を正確かつ素早く行えるように
色々な経験を積み刺激を与えて
対応能力を高めていくことが
テニスの技術向上に繋がります
初心者・低年齢向けのメニューを紹介したが
中学生・高校生などレベルの高いジュニアも
判断力や予測力のトレーニングは不可欠
近年ではラケットの進化などもあり
ジュニアのボールスピードも速くなっている
それに対応する目に見えない部分の強化は
今後もマストになってくる
2.狙って打つ習慣をつける
試合になるとポイントを取る為に
決められた範囲にミス無くボールを打ち
その中で相手を前後左右に動かす必要があり
ボールコントロールが求められる
コントロールを習得する為には
ラケット・面・パワー・スピンの感覚が必要
このような感覚は体が大きくなる前に
習得できるのが理想
これらのコントロールを身に付けていく為に
ターゲット(的・エリア)を設定し
狙ってボールを打たせてあげることが大事
「狙って打つ」当たり前のことですが
ターゲットを設定してあげないと
テニスを始めたばかりの子は
ただ闇雲に打つだけになってしまい
狙いに対してどれぐらいズレがあったのか?
狙い通りに打てたのか判断ができない
逆に狙って打つだけでズレに気づき
修正するために自然に調整お覚え
無意識にコントロールの感覚が身につく
コントロールを覚える第一歩は「狙う」こと
コントロールを習得する第1ステップは「狙う」
「狙う」ことで「結果」が見え
「結果」に対しての「修正」ができる
●ターゲットの設定
「狙う」ためにはターゲットを設定が必要
当たり前のことだが
意外とターゲットを設定せず
闇雲に打たせているケースが多い
そしてターゲットの設定の仕方も奥が深く
設定の仕方によって
子供たちの多様なスキルを向上させることも可能
【難易度の設定】
最初から小さなターゲットを狙うのは難しく
難易度が高すぎると集中力も徐々に切れる
最初はターゲットとの距離を近くしたり
ターゲットを大きくして点ではなくエリアで狙う
難易度を下げてあげる
思っているよりも難易度を下げて
クリアできるから次はもっと難しいことに
チャレンジしたいと子供たちに思わせると
モチベーションアップにも繋がる
【ターゲットの位置】
どこにターゲットを設定するかで
身につくコントロールに違いが出る
・ボールの落ちる場所
ーー左右のコントロール・強弱のコントロール
・空中
ーー高さのコントロール・空間認知能力
・相手のいない場所
ーーコントロールに加えて相手を見る
ーーオープンコートに打つという基本戦術を習得
左右に限らず高さのコントロールも覚えて
コートを3Dに使う
そこに相手との駆け引きの要素を加えて
ゲームで活きる能力にしていく
●目標設定をする
30回ラリーができたら勝ち
エリアに10球中何球入れれるか
先にターゲットに当てれたら勝ちなど
目標設定の仕方は様々
子供たちが1球1球に集中して取り組めるように
指導者が目標設定をしてあげる
成功できたら嬉しい
失敗したら悔しいというのが大事
目標設定がないと成功なのか失敗なのかも
分からず路頭に迷ってしまう
【レベルアップ方式】
クラスのレベルに合わせて3~4段階の
レベルアップ方式にする
子供たちが一生懸命になって
次のレベルを目指してくれる
時間制限をつけて時間内に
どこまでレベルアップできるか競争
【30秒で〇〇回ラリー】
ラリー練習の時に〇〇回という目標ではなく
30秒で15回~20回と時間制限をつけた目標
ボールスピードを遅くすると
回数が足りなくなり
速くしすぎるとミスが多くなってしまうので
1球1球のクオリティを調整する必要がある
また自然とライジングを使う子がいたり
ボレーにトライする子がいたりと
子供たちの発想力も高まる
ラリーが難しい場合は
カラーボールを使用したり
コートサイズを調整してあげる
●テニスのゲーム性を知る
狙って打つことが大事なんだよと伝えても
子供はなんで狙わなきゃいけないか分からないと
真剣に狙うようにはならない
なぜなら自由に打つほうが楽しいから
なのでテニスのルールを理解してもらい
コート内にコントロールしないと点が取れない
ということを教えてあげる
しっかり狙って返さないと負けちゃうと分かれば
子供たちもコントロールの意識が出てくる
最初から狙い通りにボールを飛ばすことは難しい
指導者側は狙ってるけどうまくいかないのか
狙ってないのかを見定める必要がある
それによって声のかけ方や
メニューの組み方が変わる
色々なメニューを紹介したが
どれも特別なメニューではない
重要なのは練習メニューの引き出しを増やして
子供たちの成長や変化に合わせて
適切なメニューを提供していくこと
3.テニスのルールを知る
ここまでボールに合わせて動く・狙うなど
感覚の習得が大事であると話したが
なぜ頑張ってボールまで動かないといけないか
なぜ狙って打たないといけないのかを
子供たちに理解してもらうことも重要
そのためにテニスのルールを教えてあげる
教える内容はシンプルでOK
・相手コート内に返せないと失点
・1バウンドまでOK
当たり前のことだが
最初はこれだけ覚えれればOK
これが分かればボールを追いかけて
相手コートにボールを返せばいいと気づける
強いボールは打てるけど勝負で
勝てないという子が多いので
最低限のルールは初めの段階で教えてあげる
自分の初心者クラスレッスンでは
子供同士でゲーム形式ができるように
試合のルール・セルフジャッジ・点数の数え方を
早い段階で教える
こうすることで1面でも8人を同時にプレー
させることができ(レッドボールマッチ)
レッスンでの運動量も確保することができる
ラリーができるようになってきたら
「相手を動かす」
「相手に取られない」
「相手の時間を奪う」など
点を取る為の基本的な戦術を教えてあげると
子供たちの勝負がより面白くなってくる
子供たちもただ返すだけだと点が取れないので
自分で考え工夫するようになり
判断力や決断力が向上して
驚くようなショットが生まれることもある
子供たちの成長力にはいつも驚かされるが
指導者側がうまく誘導してあげないと
飛んできたボールをただ打つだけの
ロボットのようになってしまう
ボールを打つための感覚に加えて
テニスというスポーツを知り
相手との駆け引きを楽しめるようになると
さらにテニスの楽しさに気付ける
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