・将来目指すプレー
↓
・現状の選手のレベル
↓
・今何が必要か?
ジュニアを育てる上で指導者は
その選手の将来的なプレーを想像して
そこから逆算してカリキュラムを
組んでいくことが求められる
どんなスポーツでもそうだが
必要じゃない能力は基本的には無いので
何を教えてもいい、といえばそうだが
その中でも優先順位をつけて
選手を導いていくことは
限られた練習時間を有効活用する上で
必要になってくる。
アグレッシブなプレーヤーへ
・攻撃的なプレーを目指して
世界のトップ選手のアルカラスやルーネも
フィジカル面での向上が著しく
攻撃ができる範囲が広く
攻撃のテンポもよりスピーディーになっている
攻撃が甘くなれば、すぐに反撃されるので
高い精度の攻撃が求められる
守備的なプレーを主体とする選手は
ここ数年でかなり減った印象
世界トップとJr.を一緒にするのはどうなの?
と感じるかもしれないが
今はジュニアのレベルも非常に高く
プロレベルのプレーを目指し
実践していけるようにならないと
ジュニアの中でも勝っていくことは難しい
実際、前出の19歳の2人のプレーも
サービスウィナーを狙える高いサーブ力
甘いボールは見逃さず攻めれるストローク
フィニッシュでネットに詰めるスピード
5セットマッチになっても
動きが落ちない強靭なスタミナ
エネルギッシュな意味での若さは感じても
プレーの未熟さ、幼さは全く感じない
むしろ今の時代にフィットした
完成されたテニスに見える
平均ラリー数が減少していく今の時代
攻撃的な選手を育てることが
強い選手を育てる上で重要になる
・繋ぎはいらない?
結論から言うと、必要
ここまで攻撃的なプレーが必要と
言っていたので矛盾しているが
ここでの繋ぎは
ただひたすら相手のコートに
返球するだけの繋ぎではなく
攻撃の狙いを持った繋ぎが必要ということ
所謂、崩して攻撃のチャンスを伺う
これを繋ぎではなく攻撃と捉えるかは
人それぞれの価値観によって変わるが
テニスはいつでもどこでも
攻撃ができるわけではないので
いくら攻撃的なプレーヤーを目指すとしても
全てを攻撃するというのは非現実的
リスクの高すぎる攻撃をすることは
繋ぎ主体の守備的プレーヤーの術中にハマる
より高い確率でポイントに繋がる
攻めのチャンスを選択する
そのための繋ぎは攻撃的なプレーでも必要
そして攻撃することも繋ぐことも
コート内にボールを収めなければならない
という点では共通点がある
攻めだからミスでもいいことは無い
攻めも繋ぎもミスは失点である
よほど強くボールを打つことに偏った
指導をしてなければ
攻撃の能力が向上した時に
繋ぐという能力も身についてくる
そういった点で目指すプレーは攻めである
・フィジカルの重要性
では攻撃的な選手を育てる上で
どんなことを教えていけばいいのか?
テニスには色々スキルがあるが
その中でも優先して指導することは
ボールの質とフィジカル
ラケットの進化もあり
ジュニアも強いボールが打てる時代
ラリーを優位に進め先手を取る為に武器は不可欠
全体のボールの質が上がることに伴って
ボールについていく為により素早い動きが必要
どちらにしても技術的な向上だけではなく
フィジカルが必要とされる
パワーを出せない、走れない、踏ん張れない
では強くなれない
しかしジュニアを見ると
自分の打ったボールのスピードに
自分がついていけないシーンを多く見かける
攻撃が単発になり繋がらない
だから守備的なプレーヤー
所謂シコラーに負けてしまう
「粘られた」
「シコい」
ではなく自滅ということに気づけない
自分が攻めたら相手が守るのは当たり前
相手が攻撃的プレーヤーでも同じで
相手のボールスピードに自分の動きが
ついていけなければほぼ勝てない
相手が自滅してくれればいいが
レベルが上がると攻めの精度も高くなり
簡単には自滅してくれない
そこを打開するには
自分のボールについていけるフットワークを磨く
そうなると練習メニューも
トレーニングに近い内容が増える
成長期のジュニアに急に強度の高い内容は怪我のリスクがあるので
少しづつ強度を上げて激しい動作にも耐えられる体を作っていく
動けるようになることで得られる選択肢は多い
●ショットの選択
●ポジショニングの選択
●戦術の選択
いずれも幅広くなることで
試合でイニシアチブ(主導権)を得られる
フィジカルがもたらす効果は大きい
・メンタルもフィジカルから
どのスポーツにおいてもメンタルは重要
と言われている。
緊張して自分の力が発揮できない
集中力が切れてしまう
ガッツが足りなくて頑張り切れない
このようにメンタルが原因で負けてしまうことは
スポーツにおいてよくみられることなので
できるだけ持てる力を発揮するために
メンタルの向上が不可欠なのは正論
ただメンタルが強い=体が動くではない
いくらメンタルが強くても
体を動かすフィジカルを持っていないと
体は動かない
良いメンタル状況の時に
良いパフォーマンスができる
それにはトレーニングが必要
メンタルだけを鍛えても
無いものは無い、発揮できない
選手のメンタルの成長に合わせて
指導していくことが必要
心と体がどちらも揃った状態を
目指していく。
・正しい動作を身に付ける
良い意味で飛ぶラケット
悪い意味で勝手に飛ぶラケット
その中で高い精度を出すために
再現性の高い動作が必要
正しい体の使い方が求められる
シンプルな動作で効率よくパワーを発揮する
力任せな複雑な動作にならない
自分はフィジカルトレーナーでは無い
細かい体の構造に関しての知識は素人
ただテニスで必要な体の使い方は知っている
そこをフィジカルトレーナーに相談して
トレーニングメニューを作っていく
海外でも体の細かい動きまで指導している
正確に動作することの優先順位が高い
日本人よりもフィジカルに恵まれた選手が
身体の使い方までこだわる
これをジュニアから徹底してるので
若くて強い選手が出てくる
・海外の選手は大雑把?
少し余談になるが、
私が高校生の時に国内大会で
ニュージーランドの元デ杯選手
マーク・ニールセン選手と
対戦する機会があった
大柄な身体のネットプレーヤー
見た目の印象はパワーで押してきそう
しかしプレーは繊細
ネットを取るタイミング、ショットの選択
ボレーも大きな体からは想像できないぐらい
丁寧に捌く
海外選手は雑じゃない、繊細
テニスが精度の求められるスポーツであることを
再認識させられた、貴重な経験
日本人に比べたら海外選手のほうが
大雑把で雑さが目立つ選手は多いが
海外選手のほうがこだわりの強い選手が
絶対に多い
「これだけは譲れない」がある
それが武器になっていく
選手を指導する時も
これだけは負けたくない武器を
持たせることを意識していて
なんでもできるけど全部中途半端な
器用貧乏にはなってほしくない
そう思って指導しています。
・年齢によってすべきプレーは変わる?
よくテニス界で言われるのが
小学生・中学生で勝てても
高校生になって勝てるかどうかは別
16歳・18歳で勝つために
12歳・14歳は目先の勝ちにこだわらない
正論のようだけど矛盾が多い
いつまでも勝ち続けれるかは
どの年齢にもいても同じこと
低年齢で目先の勝ちにこだわらないは
指導者側の都合や言い訳
将来スケールの大きいプレーを目指した
プレーをして勝てない
そのプレーは完成した時は勝てるの?
それは状況判断だったり
方向性が間違っている
将来目指すプレーを想像して
そこから逆算してスキルアップをしていき
そこに土台になる基礎があれば
結果も自ずとついてくる
・勝つことで得られる経験は大きい
前述のように先を見据えた指導を
しっかりと順序建てしていけば
結果も先のステップアップを目指すことも
両立できるはずだが
北海道においては
低年齢では勝ててたけど
16歳・18歳になって勝てなくなった
他に強い子がいきなり出てきた
というケースはよく見られる
関東や関西など全国的に見てみると
高校王者・大学王者になってる子は
12歳・14歳でも全国大会で優秀な成績を
収めてることが多く
人の成長曲線は一定ではないので
低年齢で勝てたから
そのままトップに入れる訳ではないし
逆に勝てなかったから
そのまま抜くことができない訳ではない
しかし
勝つことでしか得られない経験は大きく
テニスの場合は年間試合数に差が出たり
精神面での経験値の差も出てくる
絶対勝利主義ではないが
勝つことで得られるアドバンテージは
確実に存在してるのが現実
選手のモチベーションを考えても
勝てない日々が続くよりも
徐々に成長を感じステップアップするほうが
次を目指すモチベーションに繋がる
ジュニアの育成に携わっていると
強くなる素質・才能を持った選手と出会う
その選手を強くできなければ指導者の実力不足
強くなったとしても指導者としての功績は少ない
大事なのは強くなる選手を継続的に育てること
その為にはそれぞれの選手と向き合い
それぞれに合った指導が必要
その場しのぎの行き当たりばったりの指導では
元々強くなる素質を持った選手しか強くならない
自分はそうではなく
上手になりたい、試合に出たい、
勝ちたいと思う選手を増やし
みんなが強くなれる集団を目指して
選手と向き合っています
コメント